終わりのないナビゲーション

こんにちは、検索迷子です。


今日は、みぞれまじりの雨です。
雪というには少し趣がちがいますが、
今日は雪とナビゲーションにまつわるお話を書きます。



数年前、大雪が降った日の帰宅時、
雪で最寄り駅まで歩くのさえ困難な時間がありました。
アイスバーン状になった、勾配のきつい橋を徒歩で渡らなければならないからです。


ちょうど、取引先の人が車で来社していて、打ち合わせ後に、
駅まで送りましょうかと同僚と数名で同乗させていただきました。

駅まで到着し、全員降りて、私が一番最後に降りました。


ありがとうございました、助かりましたと、取引先の方に声をかけたら、
検索迷子さん、この車タクシーじゃないからドア閉めてよー。
といわれました。


え?ドアを閉めるのは私?運転手さんじゃないの?

そっかタクシーじゃないんだと気づき、
あー、すいません。と、道路の雪をかきわけて、車のそばにもどり、
パタンと閉めたときのはずかしいことといったら。
同僚にも笑われてしまいました。


検索迷子である私は車の免許を持っておらず、
普段はめったに車に乗りません。


その、たまにしかのらない車さえタクシーだけで、
タクシーのドアの自動開閉が当たり前だと思っていました。
ドアは勝手に開いて、勝手に閉まるものだと行動が習慣化していました。
タクシー=車全般が同じという考えができていました。


現在、どうかはわかりませんが、
海外旅行にいった際は、常にガイドさんに注意されていたことです。
タクシーは日本のように自動開閉ではないから、
乗るときは開けて、降りるときは閉めるようにと。


海外旅行では何度もタクシーに乗りましたが、
常に頭に刻み込んでいたため失敗したことがありませんでした。


それをまさか日本でやってしまうとは。

こうした無意識の習慣や、思考の刷り込みは怖いものです。


私にとっての当たり前は、車のドアは自動開閉となりつつあったんだと、
こういう一面だけの行動体験で、
それを一般的なことと誤解してはいけないと思いました。



インターネットサービスを提供していると、
いろいろな人と、同一のナビゲーションの話題をするとき、
同じような気持ちになることがあります。

普通はこうだろう

誰でもこうだよね

とプロジェクトの話題が、画一的な方向に収束しそうなことがあります。



でも、私は、自分ならそうしない、
そうしないかもしれないほかの可能性をできるだけ検討します。
特に過去に間違えた経験があることなら、絶対に、最後まで、
説得を試みます。

インターネット歴10年以上の私が間違えることを、
初心者がすんなりできると思えないこともあるからです。



たとえば、私が車の運転をするようになったら、
ドアは開けっ放しで、車上荒らしにあっというまにあうかもしれません。


慣れていたり要領のいい大半の人たちは、いわゆる普通にいけたとしても、
普通にいけない人には、普通にいけない理由がある。


この可能性を見落とさず、
誰もが安全に、なめらかに、
あるいは時に引っ掛かりがあって立ち止まれるように、
ナビゲーションを考えたいと思います。



私自身、常に目指すナビゲーションのあり方は、
駅の切符売り場や、銀行のATMです。

人の習熟スキルに大きく左右されず、
切符を買えたり、お金を引き出せます。

でも、それでもまだ足りないんでしょね。
高齢者の方が戸惑っている姿をみるたび、
こんなに使用頻度の高い、生活必需品であるインフラさえも、
まだ全員のスキルにより添えていない限界を感じます。


こういう事例に遭遇するたび、いろいろ考えて見ます。
技術的なことは何もわかりませんが、
こうだといいなと考えるのは楽しい行為です。


雪の日、あのとき乗せていただいた車に、
ドアが開いてます、閉めてくださいと、
降りた人間にも聞こえるような音声ガイダンスがあったら、
違ったのではないかとか、
あるいは運転席からでも、手が届く場所にドアがあればいいのにとか。
車の仕組みは知らないなりに考えました。



私はインターネットの世界だけでしか、
アイディアを膨らませることはできませんが、
誰かの戸惑いを眼にしたり、自分のできなかった悔しさをしるたびに、
よりよいナビゲーションを考えずにはいられません。


誰もが今いる場所とは違うことのために行動し、
この機能を必要としている。

だったら、一刻も早く、迷いも、謝操作もなく、
次の場所にお連れしたい。


全体最適で、8割くらいの人がうまくいく方法は考えれられたとしても、
実は2割の人たちは、自己解決ができないままあきらめたり、
人に聞いていることもある。


人の数だけナビゲーションを作りたい。

ATMの操作ができなことを理由に、窓口で入出金をかたくなに続けるような人を、
ATMでも簡単ですよと教えてあげているスタッフの方もいると思うのです。


私もそうした、人の行動を便利にするナビゲーターになりたい。
リアルに説明するのは、銀行とは違ってできないけれど、
リンク一つ、説明ページ、ナビゲーション、などで、
何かお手伝いができないかと考え抜いています。


インターネットの距離感では、
それは叶わぬ思いかもしれませんが、
誰一人、情報に行き着けないことのないよう、
検索迷子はお手伝いをしたいと思います。


検索迷子は終わりのないナビゲーションを、
ずっとあきらめずに改善し続けたいと思います。


今もまた車に乗ると、ドアを閉めなさそうです。
車のしくみは、あのときから変化してくれたでしょうか?



今日のような雪の日ひとつとっても、
インターネット上の情報で、
翌日の出勤準備や時間に余裕をもった行動を事前に検討できて、
生活は確実に楽になっているはず。



インターネットがもっと生活必需品に近づくために、
まだまだナビゲーションの検討には終わりがなさそうです。


使えない人にこそ、便利で手放せないものにしてあげたい。

私にできる小さな提案はなんだろうと日々、考えています。


では、また。