アクセス解析の楽しみ

こんにちは、検索迷子です。


インターネットのコミュニティサイトを運営していた時、
私の朝一番の仕事はアクセス解析でした。
前日のアクセス解析をすることが何よりも楽しみでした。


といっても、そんなにたくさんの項目を見ていたわけではないのですが、
・ページビュー
・新規登録利用者数
・検索キーワード

この3つについては、毎日分析をして、コメントを書いていました。


私が担当していたサービスは、開発途上のサービスであったことから、
公開当初は日々何らかの機能改善を加えていました。


そのため、昨日公開した機能の効果がどうだったか、
アップしたページの閲覧数や効果はどうだったかなど、
なぜ、この数値が出たのかと、昨日の動きとからめて、
プロジェクト内にコメントを出していました。


社内に利用できるツールがあったことから、
誰に言われたわけでもなく始め、いつしか習慣化していきました。


私はこのとき、インターネットサービスを担当するのが初めてでした。
他の業界とは違い、自分が行った作業の効果がダイレクトに見えることが、
本当に凄いと思いました。


三者機関をはさまずに、じかに見たい単位で、すぐに集計されているのが、
毎日毎日小テストを採点してもらえるようで、面白いと思いました。


最初はなんとなくはじめたのですが、毎日分析を続けるうちに、
数字を見ることがだんだん楽しくなってきました。


それは、会ったことのないお客様の動きが逐一見えて、
何を求められて、どこを楽しんでもらえて、
何を飽きられて、何が使いにくいかなど、
サービスへのニーズがわかるうえに、
ユーザビリティの良否が一目瞭然だったからです。


人気のページの順位を出したり、
閲覧や利用が伸び悩んでいる箇所を特定したり、
見るべきポイントはたくさんありました。


いい効果が出ているページもあれば、伸び悩みのページもあり、
想像通りだったり、期待が裏切られたりと一喜一憂していました。


この一つひとつを、自分なりに仮説を立てて検証をして、
プロジェクトメンバーに伝えていく作業に、
次第にとても責任を感じるようになりました。


私がお客様の代弁者となって、実装してほしいことを、
なぜそれが必要かということを含めて技術者に伝えていく。
私が、そのポイントに気が付かない限り、光があたらない箇所もありました。


一度は優先順位を下げた機能でも、
お客様の反応という数字に後押ししてもらい、
開発にとりかかってもらえたものもあります。


数字は語ると思います。
なぜなら、その数字はお客様そのものだからです。



インターネット上で、私たちが歩く履歴は、
使いやすい箇所では雄弁に語り、
使いにくい箇所では沈黙し続けるのです。


それが、たった一人ではなく膨大な数が集まると、
もう十分な、サービス側へのリクエストとなるのです。
サポートセンター経由のメールとはまた違った重みがありました。



いつしか、プロジェクト内でも、
あの数字がこうだったからここを見直そう。

お、数字があがったね。
作った甲斐があったなー。

えー、なんであんなに一生懸命作ったのに、
こんなに数字が悪いの?



といった、お客様を想像し、
お客様の満足度に心を寄せる空気になってきました。



私たちが作るサービスは、ただ、作れば言いわけではないのです。
作っておけば、勝手に使うでしょというものではないのです。
作った後まで、どう使ってくれるか見届けるまでが仕事なのです。



使ってくれる人がいる。
使ってくれるお客様の幸せにつながることを毎日作業している。


毎日数字で表現して伝えることによって、
数字の効果を通して、
その手ごたえを得て、プロジェクトメンバーの意識は変わっていきました。


開発案件が山盛りで、時として、疲労で何がなんだかわからなくなっているとき、
解決の手立てが見えなくて頓挫しているとき、
どんなにこの数字の効果が、私たちが立ち止まらずに済む励みとなり、
改善のスピードを止めない力となったことか。


私たちは、お客様の足跡の数字によって、
そこにいてくれるお客様の存在を実感していました。


この難題の向こうには、お客様がいる、
見えないけど、会えないけど、
きっとこの改善を待っててくれていると、
そこに確かにいるお客様の存在を感じていました。


数字は語ってくれます。


数字に息吹を吹き込むのも、
数字の呼吸を止めてしまうのも、
作り手の思いひとつなのです。


検索迷子は微々たるアクセス数ですが、
それでも、ほほーと思って毎日、アクセス解析をしています。


といっても、改善を考えるレベルではなく、
個人ブログってこういう感じなのかぁという小さい感想程度です。


いつか、アクセス解析をして、ここを改善をしてみたいと思える、
見てくれている人たちの手ごたえを感じてみたいものです。


どこかでまた、
アクセス解析を楽しめるような、そういう規模のお仕事をしたいものです。


では、また。