検索エンジンにターゲットはいるか


こんにちは。検索迷子です。


今日のお話は、
検索エンジンの変化と進化に思う、
使い手と作り手の関係という話、
です。


検索エンジンは、誰をターゲットとしているか。


検索に関するニュースを最近、頻繁に耳にします。
個々のニュースについては、詳しい方が多いと思うので書きませんが、
かつて、検索周辺に関わってきた人間として思うところがあり、
検索に対して考えていることを今日は書きます。


数ヶ月前、検索の仕事をされている人と話す機会を得ました。
その人は、新機能のリリース準備をしている段階でした。


事前に方向性が非公開だったため、どんな機能か興味があって聞いたところ、
他からソースコードをもらってきて、カスタマイズして、
見栄えを良くしていると言っていました。


少し、夢がないトーンでした。
初対面だから警戒されていたのかもしれませんが、
ただ作るためだけに、作っているように見えました。


ターゲットは、どうお考えですかとさらに聞くと、
検索にターゲットなんていらないというのが会社の方針で、
検索したらなんでもでてくるように作れと上司にいわれていると、
その人は言いました。


え?


ターゲットのいらないインターネットサービスって、あるのでしょうか?


と、思ったものの、
そう考えるのは私だけで、その会社では当然のことかもしれないと、
言葉にはしませんでした。
では、お手並み拝見という気持ちで、その機能の公開を待っていました。



そして、あるとき、
ニュース記事で公開を知り、実際にアクセスして使ってみました。


検索にターゲットはいらないといった、
その人の言葉がよぎりましたが、中立的な立場で一通り使ってみました。


結果は、
ここには人は集まらないだろうと、使い始めてすぐに思いました。
少なくとも、私は二度と使わないと。
実際に使っていません。
なぜかというと、そこで検索を使う必然性がまるでないからです。


私が過去、手掛けたサービスは、
おもに初心者向けということもあり、検索機能へのこだわりがあるものでした。


検索迷子の私は技術に詳しくなくても、検索のしにくさや、
検索結果の質の悪さには敏感に反応します。
使いにくい検索を使うほど、私にはそのサービスの魅力を見つけられませんでした。



検索は、使い手にあった検索結果を最適に返すことだと、
私は個人的に思っています。
じゃあ、どんなといわれたら、それは困るのですが、
人それぞれ、望む検索結果がでないものの経験をお持ちだと思います。
使いにくさは、一般化しにくい部分もあります。



確実にいえることは、
見栄えをいくら整えても、検索結果はごまかせません。
それくらい、検索はインターネットサービスの生命線だと思っています。
検索ボタンを押したあと、使い手の望むものをすぐに見せられるか、
シンプルゆえに使い勝手が瞬時にわかり、逃げ場がないシビアな世界、
それが検索だと思います。


コンテンツの魅力が検索機能を上回るとき


検索が重要と言いながら、
実は私は、検索機能が使いにくくても、使っているサービスがあります。
それは、コンテンツ、情報量が検索機能の不具合を上回る魅力があるときです。


たとえば、
ショッピングサイトやグルメサイト、あるいは好きなサービスなど、
コンテンツに興味があるものは、検索が多少使いにくくても目的が明確です。
そのサイトのなかから何とか欲しい情報を探そうと、
少しの時間なら探す努力をすると思われます。


例として、
本を購入しようとしたとき、
アマゾンのサイトは、誰しもが操作しやすいとは思っていません。
使い勝手の悪いと思う人もいるでしょう。


でも、アマゾンは、
ロングテールという言葉の象徴とされるように、
リアル店舗にない本が探せると評判です。
もしかしたら、絶版本も見つかるかもしれません。
なんとか、検索して探しあてて買いたいと躍起になる本もあるでしょう。
大型サイトのアマゾンでなければ探せないと、思う本もあるかもしれません。


ところが、検索をメインとしたサービスが、
文字や画像といった大量のデータから、目的の情報にたどり着けなかったら、
探せない失敗体験を数回経験したら、
もっといい検索結果を返してくれるサイトに行くような気がします。
事実、そうやって人々は、
自分にとって一番の検索するお気に入りの場所を持っているでしょう。


どんな検索がいいのかは、私にも答えはありません。
誰に向けて作るべきかも、そのサービスそれぞれでしょう。
答えがでないから、各社、検索周辺がざわざわしているのでしょう。


検索はどうであればいいのか。


検索の使い手の一人として明確に思っているのは、
自分にとってなじまない検索サービスは、
無理に使わないし、批判もしないということです。


検索の大半の利用者は正直で、
検索の癖を把握する時間を割いてまで批判はしません。
単に、使わなくなります。
この世にそのサービスは存在しない扱いになります。
無視されていく。それだけなのです。


使わないことで淘汰されていく、そして、いいサービスだけが生き残る。
検索は、利用者のそういう無言の良否の主張が、
一番顕著に表われる機能だと思います。


たくさんのクエリを投げてもらい、検索を使い倒してもらって、
サービス改善に協力してもらうえるよう、
お客様に愛される検索を目指して欲しいなと思います。


私が作り手なら、
検索にターゲットはいると思って作りたいです。


なぜなら、
人が検索を作り、人が検索を使い、
人が検索エンジンをより良いものにすると思っているからです。
最強の検索エンジンは、
作り手と使い手の相乗効果で生まれると思うからです。


検索窓は、ただじっと待っています。
そこに、知りたいことの文字を投げてもらえないサービスは、淋しいですね。


検索にターゲットはいらないと言った方を否定したいのではなく、
私はそう思えないと思ったということですね。
人には人それぞれの、検索へのこだわりがあると思います。


検索迷子は、検索迷子なりに、
もっと使いやすい検索エンジンや機能の変化に、とても期待をしています。



では、明日。またここで。


検索迷子