正しいときに正しい場所にいる


こんにちは。検索迷子です。


今日のお話は、
梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』で、
何度も心を揺さぶられた言葉たちという話、
です。



■正しいときに正しい場所にいる。


今日のエントリー名は、
梅田望夫さん(id:umedamochio) の『ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』のなかの、

  • 第三章 「高速道路」と「けものみち
    • 正しいときに正しい場所にいる

から、お借りしました。



ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)



私は、この本を何度か繰り返して拝見しましたが、
なぜか毎回、同じところで凍りついたような状態になります。


それは、

    • 正しいときに正しい場所にいる

この見出しの箇所です。
見開き1ページ半程度のこのページを開くと、
言葉の力にぐいっと引き込まれて、立ち止まって考えてしまいます。


他にもこのご著書は、
メッセージ性のたくさんあるキーワードを含んでいるのですが、
何度読んでも同じ場所で手が止まり、
ページを開いたまましばらく考え込んでしまいます。


正しいときに
正しい場所にいる


正しいとき、とは?
正しい場所、とは?



ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』から、
その箇所を引用させていただきます。

第三章 「高速道路」と「けものみち

  • 正しいときに正しい場所にいる

 英語で「in the right place at the right time」という言葉がある。「正しいときに正しい場所にいる」。このなんとも不可思議な言葉の重要性を、私はシリコンバレーで学んだ。人生のすべてがこの言葉にあるとまで思う。
(中略)
・・・、運や偶然をつかむ人とそうでない人がいる。その人が磨いてきた能力に加えて「正しいときに正しい場所にいる」ことが重要で、それは突き詰めて言えば、誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力なのである。


注:
(中略)の直後は、実際の文章中の読点(、)の後ろから引用しました。
短い項なので全文をご紹介したいところですが、
特に私が心を揺さぶられた部分を抜粋して、引用させていただいています。


  • 正しいときに正しい場所にいる

この部分をどう読むかは、
そのとき、その人が置かれている状況によって違ってくると思います。


過去を振り返る「回顧」や「悔恨」もあれば、
現在の居場所の「肯定」や「否定」もあれば、
未来にむけた、「憧憬」や「羨望」のこともあるでしょう。
私自身もその時々で、考えることは若干異なりますが、
立ち止まってしまうというのはいつも同じで、毎回不思議な気持ちになる部分です。


このように、
ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』は、
ウェブ関連の書籍でありながら、
ウェブとは違う面も考えさせられる本だなという感想をもっていました。




■「心で読む」人に向けて書いた本。


どうやら、梅田さんご自身はその点を十分狙って書かれていたようでした。
刊行記念講演会で、「心で読む」人に向けて書いた本、
というコメントをされていたことが出版社のサイトでわかりました。

http://www.chikumashobo.co.jp/special/webjidai/making/
筑摩書房 − メイキング・オブ『ウェブ時代をゆく


本を読むには二つのタイプがあるということに気づきました。一つ目のタイプは「頭で読む人」。二つ目のタイプは「心で読む人」。
(中略)
一方、市井の人々、もがきながら生きている人は心で読む。『ウェブ時代をゆく』は「心で読む」人に向けて書いた本であり、そういう人たちにはきっちりとどいていると、感想を読みながら感じています。


私が、「心で読む」ことができたのかは定かではありませんが、

  • 正しいときに正しい場所にいる

の一行に、心が持っていかれる感覚は、今これを書いているときも消えません。




■言葉に敏感で、丁寧にすくいあげる姿勢。


何かを語りかけて、本質的なことを考えるきっかけをくれる、
梅田さんのご著書はそういった要素がとても多くあります。


梅田さんご自身の、豊富なご経験に裏打ちされた深い考察力は、
インターネットの知見だけにとどまりません。
実際に、この著書はタイトルに「ウェブ」とついていますが、
「ウェブ」に特化しないで読むことが出来ます。


梅田さんは、人の言葉に敏感で、
丁寧にすくいあげる姿勢がおありになるからこそ、
人に届く言葉が書ける方なのかとこの本で特に思いました。



たとえば、同書のなかで、
はてな近藤淳也さん(id:jkondo)の言葉を、取り上げている部分があります。

第五章 手ぶらの知的生産

  • ネットは知恵を預けると利子をつけて返す銀行

 ネットの本質は「知恵を預けると利子をつけて返す銀行」だというのは、㈱はてな創業者・近藤淳也の口癖である。
(中略)
 私も2003年から本格的にブログを書き始め、そのことを実感するようになったが、具体例を挙げながら私の経験を紹介したいと思う。


梅田さんは、はてなの非常勤取締役でいらっしゃいます。
この一節を見たとき、とても近い場所にいる近藤さんの言葉を、
利害関係のある存在としてではなく、
一人の人間と対等な気持ちで受け入れていると思いました。
言葉を受け止め、ご自身の経験に照らし合わせて共感しているように見えました。


言葉に敏感であり、言葉を世の中に向けて生かす方法を知っているのが、
梅田さんのご著書を読んで特に、思ったことです。
「正しいときに正しい場所にいる」ために、
「誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力」を、
梅田さんは、日常の言葉一つ一つから積み上げているような気がしました。



ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』の感想を書くと、
どこまでも書き続けられそうですが、今日はこのへんで終わりにします。



正しいときに正しい場所にいる。
それを実現できるよう、私もこの検索迷子で小さなことから始めようと思います。



では、明日。またここで。


検索迷子