ドラッカー時代を超える言葉

こんにちは、検索迷子です。


ドラッカー時代を超える言葉 −洞察力を鍛える160の英知』、
上田惇生(うえだあつお)さん著、ダイヤモンド社刊を読了した。

ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知

ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知


自分自身、いわゆる「ドラッカリアン」と呼ばれる、
ドラッカーファンというほどではない。
たまたま目についたら本を手にして、
そしてパラパラとめくるたびに、はっとする言葉に出会い、
あらためてその凄さを実感する。


いま、いわゆる組織論というものを論じるような、
そういう職場や職制とは違う仕事をしている。
マネジメントという言葉も、以前ほどがちがちに考えるような、
そういう時期ではなくなっている。


でも、本書を読みながら、
ドラッカーの本を全て翻訳されている、
上田さんが編んだ160の言葉をたどりながら、
これは、働くうえでの個人としての心構えとしても、
十分読みこなせる本だと思った。


組織とかマネジメントという、
責任や組織を動かす視点だけでなく、
いかに、組織のなかで働く自分というものをとらえなおすか、
それを考えさせられた。


本書の随所に既読の本の言葉があった。
だけど、それとは違う言葉に光があたるのを知ると、
自分もそのときどきで変化し、
言葉の意味合いが変わってきているのだと思った。


本来ならば組織という視点でとらえるのだろうが、
今回は自分が個人として、
あらたに考えたいと思った3点を記載しておこうと思う。


以下は本書からの引用です。
引用箇所の『』はドラッカーの著書の原典が、
本書中に記載されている書名です。

行うべき仕事に集中する

36 行うべき仕事に集中する
『明日を支配するもの』


知識労働の生産性向上のために最初に行うことは、行うべき仕事の内容を明らかにし、その仕事に集中し、他のことは可能な限り行わないことである。そのためには知識労働者自身が、仕事が何であり、何でなければならないかを知らなければならない」

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

自ら変化をつくり出すための五つの方法

91 自ら変化をつくり出すための五つの方法
ネクスト・ソサエティ


「生き残りかつ成功するには、チェンジ・エージェント、すなわち変革のための機関とならなければならない。変化をマネジメントする最善の方法が、自ら機会をつくり出すことである」
 後部座席に深々と腰を下ろしていたのでは、恐怖は募るばかりである。変化を常に楽しむ心境であるためには、最前席で、しかも腰を浮かせなければならない。
 しかも、ドラッカーによれば、自ら変化をつくり出すための方法はあるという。
第一に、成功していないものはすべて廃棄することである。
第二に、あらゆる製品、サービス、プロセスをカイゼンすることである。
第三に、あらゆる成功を追求して、新たな展開を図ることである。
第四に、体系的にイノベーションを行うことである。
そして第五に、思考態度を根本から変えることである。
「チェンジ・エージェントたるための要点は、組織全体の行動様式を変えることである。全員が、変化を脅威ではなくチャンスとして捉えるようになることである」

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

受け手の期待を知る

102 受け手の期待を知る
『マネジメント』


「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものであると受け取られる」
 階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行われない。だが、階層ごとにものの見方があまりい違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。
コミュニケーションを成立させるのは受け手である。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。
 コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験にもとづいた言葉を使わなければならない。
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要性を知る」

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

特に、最後の受け手の期待を知る、
というのが、今回やけに心に残った。


ドラッカーの言葉は、そのときどきの自分を知る、
バロメーターなのだと思った一冊である。


では、また。