抜擢される人の人脈力

こんにちは、検索迷子です。


先日、勝間勝代さんの『断る力』を読了し、
そのなかで紹介されていた本を手にしてみた。


それが、『抜擢される人の人脈力』岡島悦子(おかじまえつこ)著、
東洋経済新報社刊だ。

抜擢される人の人脈力  早回しで成長する人のセオリー

抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー

人脈は特別な人だけに必要なものではない


人脈という言葉を一時期、毛嫌いしていた。
それは特別な階層にいる人たちの、
アクティブな華やかなものであり、
一般的なサラリーマンである自分の層には無関係だと思っていた。
何か、物欲しげで、焦っているようにも見えたこともある。


でも、人脈という単語を手垢がついたもののように取り扱うことが、
そもそも自分を狭い世界に閉じ込めているような気がした。
それは、本当に人脈がないと今の時代、生き残っていけないということを痛感することが増えたからだ。


一つの組織の中に何年いたとしても、
転職したとしても、
何か学ぼうと思ったとしても、
今は、自己責任が問われる個の時代なのだと思うようになった。


一人の人間として魅力がなければ、
たとえ組織に属していても、仕事のチャンスが巡ってこない。
つまりは、毎日が、自分は何者なのかと周りに発信しながら、
信頼される人間であるという証明をしながら過ごさないと、
いきなり明るい未来などやってこないということなのだ。


毎日を丁寧に生きなければ、先などない。
その重要な要素が、自分のファンを作り、
自分がいつも声をかけたり、かけられたりという人脈を作ることなのだ。


人脈という言葉だけに、左右されるのではなく、
実態を伴って人としっかりつながる力が大事なのだと思わされる。


本書から、主だったものを抜粋して、自分の行動をもう少し見直したいと思う。

人脈スパイラル・モデル


岡島さんは、株式会社プロノバ(プロの場の意味だそうだ)で、
ヘッドハンターをして、経営のプロとの知見も深いかただ。


ちなみに本書で使われている、「抜擢される人」という言葉は、
大きく華やかなものにとらえることもできるだろうが、
私はあえて、人に声をかけられる力と手元に引き寄せて考えてみた。


本書では、
「抜擢される人」の「水面下での取り組み(人脈構築の努力)」の共通項を抽出し、
それを誰もが再現可能なプロセスへ落とし込む、ということを試みたものと書かれている。


そして、それを「人脈スパイラル・モデル」というフレームワークで、構築したということのようだ。

はじめに、から引用


【「人脈スパイラル・モデル」五つのステップ】
1.自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)
2.コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例を作る)
3.仲間を広げる(コンテンツを試しあい、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する)
4.自分情報を流通させる(何かの時に自分のことを思い出してもらうよう、種を蒔く)
5.チャンスを積極的に取りに行く(実力以上のことに挑戦し、人脈レイヤーを上げる)

ビジネスのパラダイム・シフト


先に書いたが、今は人脈のとらえかたが変化してきていることを、次の内容で再確認した。


岡島さんは、これからの時代、人脈構築の努力をしていない人は、淘汰される時代になっていくとしている。


その背景として、「ビジネスのパラダイム・シフト」があり、
一般的に「当たり前だ」と思われていた言説や概念、認識が革命的に変わる・覆ると書いている。

第1部 なぜ今、「人脈」なのか?
第2章 人脈のパラダイム・シフトに伴う戦略的人脈構築の必要性


・企業の組織寿命が短命化し、個人のビジネス寿命の方が長くなる
・組織は、定常型組織から、プロジェクト型組織へと移行する
・人は、クリティカル・ワーカーとルーティン・ワーカーに二極化し、ルーティン・ワーカーの仕事はグローバルな労働力に代替される
・リファレンス文化が普及し、所属組織名での評価から、個人の業績や仕事ぶり重視へと、評価の質が変化する


本書は2008年発行の本だが、振り返ってみるに、
どれも思い当たるフシがあり、どれも自分自身が戸惑い迷ってきたことばかりだ。
もはや、組織ではなく個人、という評価軸は特に実感している。

自分にタグをつける


自分が何者なのかを明らかにする必要性を、かなり感じるようになった。
自分が自分のままでいれば、誰かが見出してくれるわけではない。


そんなに自分のことを注目してくれている人など、いないのだ。
自分で、自分が何者か、仕事を通して常に発信しなければ、
そこに自分はいないも同然、という実態を何度も経験してきた。
そして、何度もそうしている人を見てきた。


では、自分というタグをどうつけるか、について三つの要素が紹介されている。

第2部 人脈スパイラルと人脈レイヤー
STEP1 自分にタグをつける


タグ1.将来どんな仕事をしたいか(Will)
キャリアの方向性、「やりたいこと」をあらかじめ表明しておく


タグ2.自分にできることは、何か(Skill)
人はあなたの実力(できる)だけではなく、「可能性(できそう)」に着目する



タグ3.相手にどんなメリットをもたらすか(提供価値=Value
一方的にアピールするのではなく、相手が受け入れやすい形に加工する。

「販売促進」の発想(ぜひ買ってください)ではなく、
「購買支援」(いまこういうものを求めてませんか? だったらこれがお勧めですよ、というやりかた。

相手にとっての「お得感」をアピール

「がんばれる」人が持っている三つの縁(よすが


もっとも印象深かったのが次の内容だ。

第2部 人脈スパイラルと人脈レイヤー
STEP2 コンテンツを作る


「嫌だな」という気持ちを持ったままがんばろうと思っても、
集中力や粘りが持続せずにただ悶々としてしまうことはないでしょうか。


そんなとき、私は「その仕事と私をつなぐ縁(よすが)は何かを考えます。縁とは、こころのよりどころです。
私は、仕事の縁は大きく3種類に分けられると考えています。


・結局のところ、いまやっているこの仕事が好きだ
・この社長や上司なら、ついていける
・一緒に仕事をしている仲間となら困難にも立ち向かえる


シンプルでありながら、一番見落としていたことが、
この、縁(よすが)とは何かを考えることだったのかもしれないと、
はっとした。


人脈を構築するというと硬いが、
人といかにつながって、自分がいきいきとできる仕事を見つけ、
社会に何で貢献していけるのか、
そういうことを振り返るのは本書はいろんな示唆を与えてくれる。


行動一つ、自分が何者かという内省一つから、
明日、来月、来年の仕事が変わっていくのだと思った。


では、また。