こんにちは、検索迷子です。
30年前に発行され、今もなお読み継がれている作文技術の名著を読んだ。
木下是雄(きのした・これお)著、『理科系の作文技術』だ。
この本を良書として紹介している人は多いが、
最終的に手にしたきっかけは、以前ご紹介した克元さんの本にもあったからだ。
- 作者: 木下是雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1981/09/22
- メディア: 新書
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木下さんの著書は、レポートを書く際に、人から勧められて以下を参考にしたことがある。
- 作者: 木下是雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/02/01
- メディア: 文庫
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あえて、理科系とついているため、自分には関係なさそうかと思って手にしたが、
思いのほか、この本が実用的であることに驚いた。
もっと早くに読んでいればよかったと思うことが多かった。
理科系としているが、本書の序章によると、
「理科系の人が仕事のために書く文書で、他人に読んでもらうことを目的とするもの−だけを対象として取り上げる。それらを一括して理科系の仕事の文書と呼ぶ」としており、
無駄のない、他人に読ませる文書を書く手法が盛り込まれている。
作文技術の本は多数あるが、30年近く経ってもこの本は使える本だと思った。
30年前は印刷技術も違い、事例や出版事情はハードの変遷はあるものの、
むしろ、数多くの本よりもコストパフォーマンスが高いと思う。
文書技術面については、良書は他にも多数ある。
この本は、それだけでなく、本を作るために欠かせない要素である、
統一表記や構成、記号類、組み方など、他の本には見られないことが出ている。
こうした本を形作る要素は、現在では、印刷関連の本にしかなかったり、
校正や校閲に詳しい人の領域のと思われているため、
特に、ワープロが普及してからは、記載してある本が非常に減ったように思う。
今は、文章を手書きで書く人は激減して、ワープロソフトを使ったり、
ネット上で直接書き込んだりと、誰でも入力が簡単にできる仕組みができている。
また、驚くほどタイピングが早く、単純入力が得意な人も多い。
ところが、誰でもできるゆえに、雑な入力によるタイプミス、
整合性のとれない文章や、表記の不統一、文体や文末のムラなど、
プロとは思えない文章や体裁が出回っているのも事実だ。
誰でもすぐに入力して、インターネット上で公開できるメリットでもあり、
体裁にこだわらない文章や体裁や、組み方が出回っている。
ツールを使って自動化が進むのは望ましいことだが、
反面、文章をわかりやすく伝える技術の一部である「整合性」が損なわれるのは、
とても残念だ。
同じ言葉を表す漢字が、何種類も出てくるだけで、
読み手は同じモノなのかというストレスを感じる。
文字変換されたものをそのまま入力して、見直すことも、
事前に表記ルールも作成しないまま作られているものも、
私はとても気になる。
当人は、すぐアップできたと思っていても、
読み手は行きつ戻りつしていたりすることもあるのだ。
それが商用サイトなら、企業の校正や、校閲部門、QC部門の有無や、
力の入れ具合まで透けて見える。
最近ではなかなか、書式の体裁そのものを体系的に伝える情報源が減ってきた。
情報を構成する要素について、この一冊はコンパクトに伝えてくれている。
一部は古いとはいえ、校正記号を赤字で印刷してある新書なんて、
今はあるのだろうか。
企業にいて、書類に赤字を入れるという作業は校正者でなくとも意外と多い。
ちょっとした書類の訂正に役立つ。ぜひ、これは参考にしてほしい。
作文技術についてはいうまでもなく読み応えがあり、
さらに、情報加工の面でも貴重な情報が多く、
一冊の情報量としては文句なしに応用可能なことが多い。
括弧類に全て、正式な名前があるとか、そういうことだけでも、
知っていると何かと便利です。
書類を作るということは、読み手があってのこと。
この本が読み継がれてきた理由が、本当に良くわかります。
読み手がわかりやすく、見やすく書類を読むために、
どれだけ細やかな心配りができるか、その精神を教えてくれます。
どんなにツールが高機能になっても、配慮が行き届いた文書は書けません。
使う人が文書にはそのまま出てしまうものです。
ここ間違ってるよと、書類のミスを指摘される人が多い人は、
どんな項目を気にして書類を作ればいいのか、
本書で学ぶとよさそうですね。
雑な文章を書く人は、それだけで信頼されなくなっていきます。
この人の文章は細かくチェックしなければと、
他の人の仕事を増やしますからね。
では、また。