ホリスティックという調和

こんにちは、検索迷子です。


もう6年も前に出版された本で、今も語り継がれ、引用され、
かねてから気になっていた一冊をやっと読めた。


それが、
『ホリスティック・コミュニケーション「アクティブ・コンシューマーの出現で進化するる広告と販促の協会」』だ。
秋山隆平さんと杉山恒太郎さんによる本だ。

ホリスティック・コミュニケーション

ホリスティック・コミュニケーション


この本は、折にふれて知る機会があった。
以前、エントリーを書いた、佐藤尚之さんの『明日の広告』でも、
触れられていた。


この本は、広告のみならず、
インターネットの利用行動の分析手法が記載された書籍のなかで、
よく目にしてきた。
それは、広告業界でよく利用されているAIDMA(アイドマ)理論が、
AISAS(アイサス)に変化したことを提唱した最初の本だということだ。


以下の記事に詳しく両者の違いが記載されている。

ITpro - AISAS(アイサス)とは Attention,Interest,Search,Action,Share

AISASとは、インターネットを積極的に活用する消費者の購買行動プロセスに関するマーケティング分野の仮説。ある商品を消費者が認知してから購買に至るプロセスを、「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」の5フェーズから成り立つとした。電通が提唱し、2005年6月に商標として登録された。

AISASが商標登録されているのは、初めて知りました。
わかっていたことでも、調べ直すことは大事ですね。


消費者行動の移り変わりを真剣に観察し、従来の枠組みで考えるだけでなく、
あらためて定義をしなおした人が6年以上前に存在し、
世の中に提唱できる影響力を持つ人だけが時代の先駆者となれる。


そして、遅れて多くの人々がその思考のフレームワークを借りて、
自分たちの行動の幅を広げていく。


時代を作る人がいて、時代に追いつこうとする人がいる。
私たちに求められるのは、新しい理論を勉強のように暗記して、
追いかけていくことだけではない。


2010年という今、この時代において、
新しい思考回路で、新しい技術で、新しい視点で、
インターネットを使った人々の行動を見つめなおしていき、
発信していくスキルが求められる。


今もなお、納得ができる思考でありながら、
鵜呑みにするだけでは、取り残されるという気持ちになる。


追いかけるだけでなく、
自分ならではの時代感をもっと研ぎ済ませたいと思わされる一冊だ。


タイトル一つとっても、
ホリスティックという言葉になじみがあるか、ないかで、
そのメッセージの受け止め方の深さが変わってくると思った。


引用すると、

ホリスティックというのは、パーツがそれぞれの多様性を主張しながら、
全体として調和している、あるいは調和の中でパーツが活かされている状態

ということのようだ。
ただ、この説明だけ読んでも、何のことか、伝えきれていないように思う。
もっと知りたい人は、実際に手にとって読んでみてください。


また、
広告用語に戦争用語が多く、「ストラテジー」とか「ターゲット」とか、
ということに言及したくだりは、とても共感できた。
もっとオーガニックな言葉が必要という提案は、
意外と気が付かない視点かもしれない。


個人的には、戦略という言葉を使うたび、
これしか用語はないのかと思っていただけに、
過去の概念を疑ってかかる、他の言い回しを考えてみるという発想はいいなと思います。


情報の発信者の役割を担い続ける限り、何度か、読み返したい一冊です。


では、また。