初めまして。検索迷子です。

初めまして。検索迷子です。
今日から、はてなダイアリーを始めます。
どうぞおつきあいください。


■検索迷子とは


検索迷子とは造語です。
私の頭のなかでは頻出単語ですが、
他の人が使っているのをほとんど聞いたことがありません。


検索迷子とは、インターネットの世界で探しものをして、
望むものを見つけられない自分を含めた多くの人たちを表しています。
また、探しても情報が見つからなかった時の放心状態を表現しています。

検索迷子の話については、後半もう少し詳しく説明をしていきます。



はてなダイアリーで、今日7月1日に生まれ変わる


今日7月1日は、私がインターネットの世界に足を踏み入れた日です。
かつて私は、コミュニティーサービスの立ち上げに携わってきました。
それなのに、コミュニティーサービスを個人として利用してきたことはありません。


コミュニティーサービスは、豊かな時間と恐怖とが隣り合わせの場所です。
それがわかっていながら一歩を踏み出せませんでした。


でも、他の方が書いたはてなダイアリーを見る機会が増えて、
始めないことによる機会損失を実感するようになりました。
一度書いてみよう、その場に身を置いてみようと思いました。
インターネットの世界で生まれ変わるため、記念日の今日を選びました。


今は、インターネットの世界の片隅で違った仕事をしていて、
サービスの作り手ではありません。
機会があれば、またコミュニティーサービスに関わっていこうと思っています。
だからせめて使い手として、
はてなダイアリーが生活の一部になるかどうかを試していこうと思います。


このコミュニティーサービスの立ち上げは、私の人生を大きく動かしました。
私は作り手として、コミュニティーサービスの魅力にとりつかれ、
同時にこの話を語り継いでいく責任を感じています。


インターネットにもっと良質なサービスの作り手が増えてほしいから、
書ける範囲でこれから綴っていこうと思います。



■無名の社員がコミュニティーサービスを立ち上げた話


ここで書く内容は、ベンチャー企業の社長でも役員でもない、
無名の社員が書き綴る、普通のサービス立ち上げ体験記です。


インターネットのサービスを立ち上げた体験やサクセスストーリーは、
探せばいくらでも記事があると思います。
ただ、その中に一般社員の記事はどれくらいあるでしょう。


そういう記事は多くないから、読みたいから書いてと知人にリクエストされました。
確かにそうかもしれない、私だって読みたいと思いました。


自分のささいな経験でも誰かの役に立つかもしれない、
そう考えてコミュニティーサービスでの経験や、その周辺の雑感を、
ぽつぽつと書いていこうと思います。



■あれがWeb2.0の渦中だったかと、今になってわかること


これまでずっと、怖くてコミュニティーサービスを使うことができませんでした。
新サービスを身軽に使える人には、この怖さというのは理解不能かもしれません。


運営者として、コミュニティーサービスの楽しさと便利さの裏側にある、
負の部分を大量に見てきたためだと思います。


今思うとその頃は、Web2.0が提唱され、サービスが生まれて浸透していき、
人々が夢中になっていく、そんな時代のど真ん中だったようです。
当時は、Web2.0という言葉も知らず、実感はまるでありませんでした。


コミュニティーサービスは、日々が発見の連続でした。
同時に、前例がない対処に毎日がお祭り騒ぎでした。
対策を考え抜き、実装し、それでもまた何かが起こることの繰り返しでした。
つながる面白さを有効活用する人もいれば、つながりを悪用する人もいました。


Web2.0の渦中にいたため、
利用者も運営者も混沌は当然のことだったのかもしれません。
誰もがあるべきサービスの姿がわからず、
笑顔も怒りも、リスクもリターンも、挑戦も防御も、
何もかもが表裏一体でうごめき、何もかもが手探りでした。


この船は沈没するのか、もっと遠くまでいけるのか、
それさえもわかりませんでした。
面白い、役に立つという人の気持ちがサービスを育ててくれ、
対応に追われるなかで、多数の人たちの楽しむ様子が励みとなりました。



■サービスの作り手の方とともに、いいものを世の中に送り出したい


コミュニティーサービスの運営を離れた後、
ごく少数の人たちにここで書く話をしてきました。
気がついたら、同じ話を違う人に別々に何回もしていました。


数年前の今日に出会った、仕事の恩人ともいえる人から、
たった一人のために話すのはもったいないと言われました。
より多くの人に伝えるため書き残したほうがいいと言われました。
その人から、はてなダイアリーを勧められました。


話すほうが、書くよりも手軽です。
さらりと話した内容に重たい責任は生まれず、
聞き手の記憶も全文保存されないから、気楽でした。


書き残さないことで、存在を消すことで、
何かを背負わないようにしてきたのかもしれません。
泡のように消えてしまう話ではなく、今は形のある小石を投げてみたいと思います。


特に、インターネットサービスの作り手に伝えたいと思っています。
インターネット業界に身を置いている人たちが、
良質のサービスを提供する目を持っていてほしいという願いからです。
今よりさらに良質のサービスが増えて、
インターネットがもっと使い勝手のいいものになってほしいと思います。


私の経験が誰かのお役に立ち、
業種問わず、毎日のお仕事のヒントになることを願っています。
他のお仕事をされている方たちにも読んでいただけるよう、
インターネットに特化しすぎない話を書ければと思います。



■検索迷子だけに開かれた秘密のドア


検索迷子とは、もともとは自分だけのことを表現していました。
時間をかけて検索しても目的の情報を探し出せないことが多く、
あーあ、また検索迷子になった、、、と自嘲的に使っていました。


ところが数年前、コミュニティーサービスの立ち上げに携わった時、
検索迷子になっているのは私だけではないと知ったのです。


それは、立ち上げるサービスの準備をしている時のことでした。


検索にヒットしなかった結果の画面、
いつもなら「見つかりませんでした」だけが表示されるせつない画面に、
ある仕掛けをしました。


検索したけど何も見つけられなかった検索迷子に向けて、
いつかは目的にたどり着けるかもしれない、
そんな希望につなげる秘密のドアを用意しました。
検索が上手な人は、決して出会うことのない画面でした。


そこで、知りたかったことを問いかけました。
サービス公開前なので、具体的な利用目的は告げませんでした。


返答をしない旨を明記したいわば片道切符にもかかわらず、
大量の匿名の人たちが、行き場のない思い綴ってきました。
情報が見つからずいかに困っているか、暗闇に向かって叫んでいました。
文字の洪水に押しつぶされそうな勢いでした。


それは悲鳴に近い切実さをもって、私に迫ってきました。
私はその思いを来る日も来る日も、一人で読み続けました。


検索しても目的にたどり着けない、
検索しても満足した結果が得られない、
大量の情報のなかから必要なものが探し当てられない、
どこかに知っている人がいるかもしれないけど、それはいったい誰?
そもそも、何て文字を打てばいいのかわからない。
何でもいいから、この解決方法を教えて!
急いでこれが知りたい!!


この言葉の前に、
インターネットサービスを提供する側の一人に過ぎない私は、
いったい何ができるのだろうかと考えました。


あれ、みんな普通に検索を使ってるけど、
実は、検索しても情報にたどり着けていないの?
検索って他の人からは見えないから、検索迷子になっててもわからないのか。

探したけど見つからないって相当、不満がたまるんだな、
みんな同じなんだなと気付いたのです。これは、何とかしたいと思いました。



■プロの検索迷子になる


当時、私は新サービスのプロジェクト会議に参加していても、
発言権があまりなく、ただ動向を見守っている一人でした。
理由は、このプロジェクトメンバーになる数か月前まで、
月にインターネット接続がたった3時間のインターネット音痴だったからです。
技術用語が飛び交う会議で、聞き取りだけで必死でした。


検索迷子の声を知るにつれて、
新サービスの方向性がまだまだ、検索迷子には優しくないと思いました。
技術的にも、ナビゲーション的にも難易度が高すぎました。


それに気付いていながら、自分だけがインターネットスキルが低いのかと、
私は声を上げませんでした。
でも、きちんとプロジェクトメンバーに検索迷子の実態を伝えようと思いました。


どうしたら、この人たちを私は幸せにできるのだろう。
それが、私がそのサービスを徹底的に作り上げようとする原動力でした。


私は検索迷子を代表して、でも、ただの素人としてではなく、
プロの検索迷子になろうと思いました。
インターネットサービスで実現可能な、情報と人との出会い、
その真ん中にいつもいて貢献しようと思いました。


そして、検索迷子を救うと決めたばかりに、
インターネット強者ぞろいのネット業界において、小さな戦いが始まりました。


その機能では分からない人がいるからここを見直してほしい、
この表現では何のことかわからないからこうしたい、
そう伝えるたびに、失笑をかいました。
検索迷子は技術用語を全く知りませんでした。


でも、私はくじけずに声を出し続けました。
自分が今ここで恥をかけば、検索迷子が一人でも減ると信じていたからです。


武器を持たない私を理解してくれるメンバーに恵まれたおかげで、
サービスは、ぐんぐん加速していきました。


自分の案による機能や文言を、ときどき懐かしく見ながら、
当時のまま今なお使われ続けている部分に、びっくりすることがあります。
使われているというその時間経過が、
お客様の静かな評価の蓄積とも言えるのかと発見をしたりします。


こうした、検索迷子と向き合い続けた事例を織り交ぜながら、
プロの検索迷子(自称)の視点をお伝えしようと思います。



■あらかじめお断りしておきたいこと


私が携わったサービスは現有しています。
無名だった時代が信じられないほど今も伸び続け、
多くの利用者の方たちに支持されている、たいへん素晴らしいサービスです。


ただ、申し訳ありませんが、サービス名をお知らせすることはできません。


嘘は書かないつもりですが、内容の正確性、真実性は保証できません。
退職して数年が経過しており、現在一切の関わりを持っていません。
現在のご担当の方も存じ上げません。
また、守秘義務契約上、何の資料も持ち出していないため裏づけはとれません。


ここに綴ることは思い出に過ぎないと思っています。
事実と違うこと、思い出として美化されていることなど多大にあると思います。


それをご理解いただいたうえで、
コミュニティーサービスの立ち上げエピソードを語っているだけと、
一歩引いて読んでいただければと思います。



■これをお読みになった現在のご担当の方へ


自分のサービス?と思われた方に、お伝えしておきたいことがあります。
私はご担当の方に敬意を表しています。
素晴らしいサービスを生み出していることに、
心から感謝の気持ちを伝えたいと思っています。


この場で書かれた内容を不快に思われるかもしれません。
サービスを穢すことのないよう、また支障のあることは書かないように、
努めていくつもりです。


熱にうなされたような、サービス開始時期を私は過ごしました。
しかし何かを新しく始めるよりも、サービスを安定運用して、
たゆまず向上させて、お客様からの信頼を得ている努力には頭が下がります。
時代が違えば、直接お話をできたのかもしれません。
今は一人のファンとして、これからも応援していきたいと思います。



はてなが社会のインフラになりますように


はてなを使うのは、実は数年ぶりです。
過去、競合調査として、はてなを使ったことがありますが、
はてなポイントを使わず表面的な機能だけを見ていました。


はてなダイアリーを選んだ理由は、恩人から勧められたこともありますが、
数年ぶりに訪れた時に、はてなが以前より柔らかくなったと思ったからです。


私にとってはてなは、理系大学院の男子学生が集う図書館、
生徒会長を彷彿とさせるよどみのないブルーのきりり感が、
敷居の高くて居心地が悪い印象でした。


ところがその印象が、少し変わりました。
そして、はてなのような良質なサービスがもっと浸透し、
もっといろんな人に使われて、成長してほしいなと思いました。


はてなが生活必需品になって、
社会のインフラになってほしいと瞬間的に思いました。
なんの根拠もなく、そうであるといいなと思いました。


インターネット上には無数のサービスがあります。
でも、本当に使い勝手のいいサービス、
どんな年代や経験でも使いこなせて社会のインフラになれるサービス、
作り手が熱意と思いやりを有したサービスはどれだけあるでしょうか。
私が知らないだけで無数にあると思いますが、もっと変われる余地はあるはずです。


はてなの居心地よさそうな雰囲気、
はてな自体の持つエネルギーは、私に一歩踏み出す力をくれました。
体温のある人のそばにいると温かくなる、そんな感じがして、
はてなダイアリーでこれから書いていこうと思いました。


長くなりましたが、
少しずつ歩んでいこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
今日、全文読んでくださって、ありがとうございます。
この最後の一行まで読んでもらえたことが、とても光栄です。


明日もまたここで。では、また。


検索迷子