こんにちは、検索迷子です。
情報産業でずっと働いてきて、なぜかいつも回ってくる役回りがあります。
それは、カテゴリを作るということです。
大量の情報を取り扱う仕事をしてきた性質上、
情報を分類して、お客様の満足度と社内システムの都合の両方を加味するため、
分類が常についてまわってきました。
しかし、カテゴリを作ることは実は容易ではありません。
分類に最適解はありません。
百人いれば、百通りの分類ルールが生まれます。
これが、個人のパソコンのフォルダや、メールボックスの分類なら、
どんな分け方をしても、他人には迷惑はかかりませんし、
自分用語、自分分類でいいわけです。
ところが、共通のデータにアクセスする場合は、そうはいきません。
多くの人にとって納得感があり、利便性を損なわない、
そして、より使いやすくなるためのカテゴリ分類を考え出す必要があります。
お客様にとってカテゴリは、情報の閲覧性やアクセス速度を高めたり、
サービスの使いやすさを体感するうえで不可欠なものです。
だから、作り手にとっては、
カテゴリをどう作って、どういうサービスですよと見せていくことは、
Webサービスのキモともいえる避けて通れない作業です。
でも、カテゴリには、答えはないのです。
時代によって、カテゴライズしたい用語も変化します。
未知な言葉も分類も出てきます。
少なくとも数年は維持できるよう、過去と現在と未来を総合的に考えて作る必要があります。
私はなぜかいつも、その膨大な情報の洪水を俯瞰して、
カテゴリ構造を一から作る役割に携わることになります。
手を挙げて、やりますと言っているわけではなく、
自然と私の手元にきてしまいます。
カテゴリの存在を、普段みなさんは意識されているでしょうか。
Webサービスであれ、日常の生活であれ、
私たちの身の回りには分類されたものが数多く存在しています。
たとえば、百貨店などの何フロアというのもそうですし、
書店での何コーナーや著者別、出版社別といった分類もカテゴライズされています。
カテゴライズの基本として、図書館情報学の分類学を大学で学びましたが、
だからといって全てのものが分けられるわけではありません。
分類の基本的な考えはわかるものの、臨機応変にサービスにとって、
一番いいものを考え出して、運用していくことが大切なのです。
分けるためには、わからなければなりません。
どんな未知なジャンルでも、どんな立場の人が利用しても、
的確に分けられるように考え抜く必要があります。
わかるから分けられるのではなく、
わからなくても、分けられる想像力が求められます。
なぜなら、情報には自分にも知らないことがあるからです。
縁のない用語もたくさんあります。
誰がいつ、どのように使うのか、考えて考えて考え尽くすのです。
今の仕事も、初めて体験する業態で、新しく世の中に生み出すサービスです。
つまり、そのWebサービスでよく使われる用語すらわからないところから、
机上でイメージすることからのスタートです。
なのに、もっとも一番良く知っている自分になり、分ける役割が求められます。
それでも、過去に手掛けたWebサービスの立ち上げでも、
ゼロから作り出して、
カテゴリの基本を抑えたり、カテゴリで冒険したりしながら、
ページビューを伸ばした経験もあります。
世の中にないものを生み出す以上、
自分の視点、自分の目、自分の分ける力を信じていくしかありません。
私自身が最初のお客様になって信じて、カテゴリ体系を作ることに邁進するのみです。
実は、検索迷子ではカテゴリを一切使っていません。
これは、普段、分類をすることを仕事としている反動なのか、
あえて、分けないままで閲覧してもらっています。
それは、私にとっては、「本」カテゴリでも、
見てくださる方には「ビジネス」かもしれないと思うと、
私自身が付与するカテゴリが、必ずしもナビゲーションにはならず、
読み手の方の自由に任せたいという気持ちもあるからです。
カテゴリを意識させないで、カテゴライズする。
カテゴライズしたものに縛られないで、アクションを起こせる。
でも、カテゴリを使いたいと思ったときに、なめらかにナビゲーションをする、
それが理想的なカテゴリ構造ですが、私自身、何度作っても迷いが生まれます。
とはいえ、今もリアルタイムで、
膨大なデータ量を俯瞰しつつ、カテゴリ体系を悩み抜き、
社内の利害関係者や思い入れがある人たちの声を聞いて調整をしつつ、
最後は、自分自身の爆発的なアイディアが出てくるのを待っている段階です。
Webサービスで一度作ったカテゴリのお引越しは、現実的にはかなり厳しく、
やり直しがほとんどききません。
わからないことを分けられて、誰をも検索迷子にさせない、
そんなスペシャルなカテゴリ体系が浮かぶといいのですが。
サービスを利用する方がカテゴリを過剰に意識しなくて済むように、
サービスが始まるまで、過剰に考える日々が続きそうです。
一度に作成するカテゴリツリーとしては、自分史上最大規模となります。
カテゴリ分類に同じような悩みを持っているかたに、
本をご紹介しておきます。
Webサービスに特化した分類方法でありませんが、
カテゴリ分類の基本を抑えるには有益な本です。
『情報整理・検索に活かすインデックスのテクニック』藤田節子さん。
- 作者: 藤田節子
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2001/11/10
- メディア: 単行本
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『本を分類する』緑川信之さん。
- 作者: 緑川信之
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 1996/10/01
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分類することの重要さ、カテゴリとは何かを一から学びたい方は、
ぜひご参考になさってください。
ちなみに、分ける仕事をしているせいか、
適当に分類しているWebサービスや、お店はすぐにわかります。
きれいにわけているつもりでも、破綻をきたしている箇所がわかるからです。
それはどこ?
と聞かれても答えにくいのですが、
作って自己満足というのが透けて見えるカテゴリは、
ぽつん、と浮いているということです。
お客様となる対象をまるで見ていないというのは、論外ですね。
しばらく、分けること、カテゴライズの夢をみそうなくらい苦戦しそうです。
むきだしで、ばらばらなデータのままでは、情報は活用できません。
人と情報が出会えるよう、いつでも最適なカテゴリを作りたいと思います。
情報を束ねる役割が自分の使命なのだと、公開するその瞬間まで考えていき、
公開したその後までも検索迷子はいないかどうかを、しっかり見届けようと思います。
では、また。