(47)パラフェス2016は、香取慎吾さんの壁画が放つ愛に包まれていた

こんにちは、検索迷子です。


11月22日(火)、日本財団パラリンピックサポートセンター(略称:パラサポ)さんが開催された、パラスポーツ普及啓発のイベント「パラフェス2016〜UNLOCK YOURSELF〜」に参加するため、国立代々木第一体育館に行ってきた。


パラリンピックイベント関連の話題を書くのは、今日が4回目となる。
2016-11-10 (45)香取慎吾さんのパラサポ壁画は愛が描かれている
2015-11-30 SMAPさんのパラ駅伝の閉会式コメント
2015-11-11 SMAPさんとパラリンピックと壁画


イベント本題に入る前に、これに参加できたことや、記事を書こうと思った時間も含めて、私とSMAPファンのかたとのご縁なので、周辺の話も書いておきたい。


私のブログを読みなれているかたは、いつもの長文だと思っていただけるだろうが、イベント内容をすぐ知りたいかたは、見出しを参考にスクロールして、先のほうを読んでいただければと思う。

パラフェス参加までのいきさつ

前回、香取慎吾さんが2015年11月に日本財団ビルに描いた壁画に、再び光があたると知って、嬉しい気持ちで記事を書いた。できたら、実物大レプリカとメイキングムービーをこの目で見たいと思いつつも、5000名程度の枠だったため、参加の応募は、本当に現地に行きたいかたにと思って控えていた。


ところが、思わぬ幸運が舞い込んだ。
Twitterのフォロワーさんで、私がSMAPを書き始めた初期から見守ってくださっているかたが、同行者を探していた香取さんファンのかたに私を紹介してくださった。


そのかたはTwitterもブログもやっておらず、当ブログも知らなかったようだが、フォロワーさんがわざわざ記事を添付してまで、私との同行を勧めてくださった。


当初、Twitterのみの知人の仲介ということに難色を示されていたようだったようだが、私のブログを読んで、ここまで壁画に思いを寄せてくれている人なら、ぜひ一緒にと快諾してくださった。


そして当日、遠方から前泊して来られた、そのかたに同行させていただいた。そのうえ、ずっとネット上でお世話になってきたものの初対面だった、仲介者のフォロワーさんともご挨拶できるという素敵な時間を過ごせた。


と、周囲のかたのお力添えで現地に行って、楽しい時間を過ごしてから、一週間あまり。


実は参加が決まったときに、Twitterで香取さん壁画シリーズの次回を書くとつぶやいたものの、当日会場で受け取った思いがとてつもなく大きく、それをなかなか消化しきれなかった。


Twitterでたくさんの感想が流れ、ワイドショーでも取り上げられていることもあり、私が書かなくてももう十分だろうかと考えていた。


ところが、自分も自分なりに言葉にしなくてはと思う出来事があった。


11月28日(月)に、一年前のパラ駅伝に誘ってくださったかたと、同時期、私がTwitterのヘッダーに使っている、草なぎさんのドラマのロケ地である「一本桜」に案内してくださったかたと、偶然食事をする機会があった(この話はTwitterでもつぶやいているが、稲垣さんや草なぎさんゆかりのお店にも行ったので、機会があれば書こうと思う)。


お世話になったそのお二人とも、パラフェスには参加できず、当日はどうだったかと聞かれるままに感想を話した。すると、「他の人に聞いていた感想の10倍くらい情報量があって、状況が浮かんできてうれしい」と言っていただけた。


その一言に、はっとした。
長文でここに書き残すことで、私も誰かの役に立てるのかもしれないと。


観に行けなかった多くのかたのために、これは書き残そうと気持ちを固めた。自分がSMAPファンのかたに何重にも受けた好意を、きちんと文章にして返して行こうと思った。


今年に入って、SMAPやファンのかたのことを思い、ブログを書くのは、時に押し寄せる切なさや、やりきれなさとの葛藤で、ものすごくエネルギーを使い、書くこと自体が心苦しかった。


それでも、記録の意味も込めて、今回のパラフェスは残さなければならない大事なイベントだったと思う。これが私にできる、小さな小さなファンのかたへのギフトになれば嬉しい。


ということで、やっと本題にいきます。

パラフェス2016の、充実したイベント内容に夢中になる

本題と書いたものの、この記事を読んでくださっている大半のかたにとっての「本題」は、香取さんの壁画やメイキングムービーの感想かもしれない。


それをわかりつつ、やはり今回のお礼も込めて、本来の主役であるパラフェスのイベントの感想を先に書いておきたい。


イベントの詳細レポートは、日本財団さんの公式ブログ、日本財団ブログ ソーシャルイノベーション探訪ー「パラフェス2016 〜UNLOCK YOURSELF〜」に詳しいので、それをご参照いただきつつ私の感想をお読みいただければと思う。


19時から2時間半の予定が、22時15分終了となる長丁場のイベントではあったが、全体的に考え抜かれた、内容盛りだくさんの素晴らしいイベントだった。


まったく飽きることがなく、むしろ目の前で披露される出来事の一つひとつに夢中になった。


この日私は、会場の外のチケット引換所の列に、2時間近く前から同行させていただいたかたと並んでいたが、会場に訪れているかたの大半はSMAPファンであるという体感があった。


その大半がSMAPファンであろうかたたちが、同じく会場で繰り広げられるイベントを楽しんでいる様子がわかるくらい、イベントの雰囲気はとても良かったと思う。


車椅子バスケットボールの競技説明や、デモンストレーションのとき、昨年、SMAP5人が、駒沢オリンピック公園の総合運動場陸上競技場で、同じ競技に真剣に取り組んでいた姿を、一瞬、思い返さなかったと言えば嘘になる。


でも、昨年に馳せる思いよりも、今このとき目の前で真剣に競技をするアスリートに集中して見入ってしまうほどに、パラアスリートのかたたちは輝いていた。


開始から順を追うと、ダンサーさんによるパフォーマンス、開会式とスピーチ、パラリンピアンと芸人さんによるパラリンピックの競技紹介、コンサートという流れだった(香取さんの壁画のメイキングムービーについては後述するので、いったん順番からは外して説明させていただく)。


振り返ってみると、これだけ内容が充実して、多数のかたがセンターステージに登場して入れ替わっても、まるで無駄な時間がないと思うほどに、なめらかな進行で、興味がずっと持続するほど、会の運営が完璧だったと思う。


ちなみに会場は、正面に巨大スクリーンが1つあり、それを全員が正面から見える1、2階席に着席するスタイルだった。入場した際、3倍の人数は入場できたのではと思うほどに、会場の3分の2を占めるほどの暗闇の空席が目立った。


でも、結果的に、この入場規模が今回は妥当だったような気もしている。
その理由の一つは、プロジェクションマッピングの技術の利用によって、センターステージが多様な変化が効果的に働いたことがある。


少しわかりにくいかもしれないが、体育館の床自体に、そのときどきのイベント内容に合わせていた映像が投影されていたのだ。


映像が観やすい方向に全員が着席できて、イベントごとの映像技術を堪能できていたのだと思うと、全員の視線が同じ方向を向いていたのは、会場の一体感にもつながり良かったと思う。


床は、時にバスケットコート、時に陸上競技場のスタートライン、時にパフォーマンスを彩る立体的な映像と七変化し、後述するが、香取さんの壁画も全面に投影された。


また、ステージ左側にはセンターステージよりも少し小さめのサブスクリーンがあり、ステージ上でのやりとりが随時入力されて、表示されていた。


当初これは、ニコニコ動画のように会話をリアルタイム入力するものとして、登壇者も観客も、喋ったことが全部画面にでちゃうの? と笑いながら楽しんでいるところがあったが、冷静に考えるとこれは、聴覚障がい者が主に観るための、大事なスクリーンだったのだ。


それに気づいたとき、我ながら無知って怖いと思った。誰かにとって大事なコミュニケーションツールを、遊び的な冷やかし要素でとらえていたと思うと、くすくす笑っていたことが恥ずかしくなってしまった。


ステージ自体は全部が丸見えで、場面転換にスタッフが動く姿や、出演者の入退場の様子も見えたままだったのだが、本当に会全体がなめらかな進行だったと思う。


本当であれば、このイベントに出演されたかたお一人ごとのお名前もここに書いてコメントをしたく、関係者にもお礼を書きたいところだが、この場を最大限に楽しめたことに感謝したい、という一言に代えさせていただければと思う。


また、このイベントのディレクターさんがTwitterでつぶやかれていたが、このたった数時間のイベントの成功の陰には、一年前からの緻密な準備があったようだ。関わった多くのかたの思いを、この日、存分に受け止め、自分にできることを協力していこうという気持ちになった参加者は多いと思う。本当にいいイベントだったと心から思う。

香取さんの巨大壁画に心を奪われる

香取さんの壁画のレプリカは、入場してエントランスから体育館に向かう方向に、どーんと置かれていた。


あまりに唐突に目に飛び込んできたので、え、もう絵があるのとびっくりした。おかしなもので、絵を観たいと思ってやって来たのに、絵があまりにあっさりと目に入って驚いてしまった。


入場したかたたちの多くもSMAPファンで、やはり絵が目当てだったようで、絵の手前に大きく書かれていた「場内撮影禁止」の表示に気づかず、絵に吸い寄せられるようにカメラを構えかける人がたくさんいた。当然、周囲に静止され、あー、ダメなんだとがっかりした声を上げる人が多かった。


会場にいるとじわじわと、この絵がとうとう見られたんだと感慨深くなってきて、入場したときの体制のまま、正面からずっと観ていたいと思った。でも、あっという間に混雑してきて、絵の右横から歩いて観るために並ぶよう促されて、すでに行列は体育館半周分近くに伸びていた。真ん中で立ち止まって、全体像を見ることはほどんどできなかった。


それでも、列に並ぶ前になんとか、全体を俯瞰できる姿勢をとってみた。


なぜか最初に観たときに、淋しい感じがした。
絵が淋しいのとは違う。絵が飾られていた場所が淋しいと思ったのだ。なぜそう思ったかというと、理由は後からわかったのだが、場所が体育館で、絵の後方は体育館のがらんとした暗闇で、全体的に暗い感じがしたのだ。


美術館などとの展示とは違い、絵の周辺には数カ所のピンスポットがあるだけで、周辺が体育館の夜の照明レベル(夜に体育館に行ったかたことがあるかたには、わかる)だった。


その微妙な照明に照らされる絵を観ながら、よく考えてみたら、体育館にこれだけの絵を飾るって、かなりイレギュラーなことなのかもしれないと思った。普通なら体育館にあるのは、せいぜいアスリートのゆかりの道具だったりする程度で、絵画レベルの作品を展示してもらえたこと自体が凄いのだと思った。


日本財団さんのビルにある絵の実物は、縦2.6メートル、横6.1メートルで、天井が白、絵の左側の壁も白、床はグレーのじゅうたん(たぶん)の三方向がちょっとした囲いのようになっていて、絵の右側はオフィスフロアに吹き抜けになっている(写真で見る想像)。なんというか、壁という閉ざされた空間のなかでの、伸びやかさを表現した絵というイメージを持っていた。


それが、レプリカとなり四面がほぼフリーの状態になり、実物にある天井と壁の白のハイライト効果が、今回は、空間に四隅がない状態で絵がぽつんと放たれて、空中に浮きあがって置かれているような、不思議な感覚があった。


壁という縛りがない状態にふわりと存在する一枚の絵となって、絵の見え方が少し変化したような気がする。でも、それは悪い意味ではない。レプリカとなってまた新たな命が吹き込まれたような感じだった。


また、レプリカのためか(どういう技術で作成したかは不明)、メディアで観ていたときよりも、全体的に色彩が淡い印象があった。


たとえば、中心に大きく描かれている月の色合いは、紫紺かと思ったら、淡い紫のような色だった。「愛」の文字下にある青い円も、くっきり濃いスカイブルーかと思っていたら、淡い水色だった。


こうして最初に観たときは、自分がイメージしていた壁画像とのギャップを少しずつ埋める時間があったが、行列から出た後も、なんとなくエントランス側にいて視界に入れることができたので、何度も絵を観た。


いったん前情報で知っている先入観をリセットして、単純に、いまここにある絵を観ようと思い直して、もう一度、絵の全体を俯瞰してみた。


トーン全体が淡く柔らかで、でも伸びやかさがあり、何よりも「愛」がしっかりと伝わる。そして、絵を観ているだけで気持ちが温かくなるような、優しさと生命力を感じた。もう、これだけ受け取ったら十分なのではないかと思うくらい、心に灯りがともるような気分になった。


絵の周辺には、この絵の「説明文」が展示されていた。
絵に描かれた11個の要素、例えば、右側に「愛」という文字がある、といった絵を観るポイントが詳細に書かれているものだ。


この「説明文」がどのように作られたかは記載がなかったが、後述する香取さんのメイキングムービーから推測するに、香取さんが絵を描きながら、この部分は、こういう意味を込めて書いたと話していたのを、スタッフのかたが文字起こししたのかと思われる。


だから、香取さんが喋った会話口調での説明は、意図をくみ取りつつ、もう少し硬質な文面となっているのではないかと思った。


この説明文、A4サイズの用紙にびっしり2000文字くらい分量があり、香取さんがそれほど多くの思いをこの絵に込めていたのかということや、絵のパーツ一つひとつに多様な意味があると知り、本当に驚かされる。


あまりに具だくさんで完璧すぎて、パラリンピック支援に必要と思われる要素が入っているので、一瞬、これは財団さんから要素の発注ありきで、パーツを書いたのかと思ってしまったが、たぶん、それは違う。


香取さんは考え抜いて、考え抜いて、一つひとつの要素を足して、全体的なバランスを観ながら、迷いながらこれを書いたんだろうなと思う。


この説明文がパウチされたものが、エントランスに20カ所くらいに設置されていたようだが、この説明文の展示については、もう一工夫欲しかったところだ。


いかんせん、撮影禁止なうえに、一枚が小文字で長文なのでなかなか読み終わらず、行列が全く進まないで行列整理にスタッフが追い付かず、大混雑となってしまった。


会場では香取さんの思いを余すことなく受け止めようと、ケータイのメモに入力するかたもいたり、ノートにとっているかたもいたので、たぶん、そのかたたちがネット上にアップしてくれた11項目があると思う。


私はこの説明文のメモを一切とっていないので、詳細には書けない。この日は、絵そのものを全身で受け止めることだけに集中しようと思ったので、自分としては、やるべきことをやりきった感じがしている。

メイキングムービーで香取さんが見せた10日間の姿

メイキングムービーの上映は、唐突に始まった。


悪い意味でとらえないでいただきたいが、前述したこの日のイベントプログラムのなかで、香取さんのメイキングムービー上映は、メインプログラムの一つではなく、会場転換中のジャンクション的な扱いに見えた。


あまり憶測で書きたくないが、メインプログラム扱いできない理由があるなかで、最大限にできる形で披露してくれる努力をしてくれたのではないかと思うような、そういう唐突さだった。


開始も唐突で、終わりも唐突だった。
このメイキングムービーは始まりと終わりだけ、形式的な開始と終了のアナウンスがあり、壁画やメイキングムービーの話題を、MCのかたが膨らませることはなかった。それは、その日の他のプログラムにある温かい空気とはまるで異質の、事務的なものだった。


これは批判ではないので、誤解しないでいただきたい。


むしろ、日本財団さんがこの日できる最大限のことをしてくれて、SMAPや香取さん、ファンのかたたちに最大限の思いを寄せて、それでもここがギリギリのラインだったのだろうかと思うような演出だったのだと思うと、これが実現した今日と言う日を感謝したい気持ちになった。


壁画レプリカ、お蔵入りしたかもしれないメイキングムービーの上映にこぎつけるまで、どれだけ準備が大変だったのだろう、どれだけの人に頭を下げたのだろうと思うと、お客様を楽しませようとするその心意気に胸が締め付けられた。



上映されたのは、順番があいまいなので間違っていたらご指摘いただきたいが、ピアノと歌のコンサートが終わり、ラストの大黒摩季さんのライブ準備に入るときか、コンサート前だったか、会場が機材設置に入る手前だったと思う。


MCの平井理央さんが「このあとは、SMAP香取慎吾さんの壁画のメイキングムービーの上映があります」と少し前に言っていたが、それからすぐには映像は流れなかった。


しばらく、会場の雰囲気は機材設置の場面転換中という雰囲気で、ステージにはだれもいない休憩時間のような感じだった。連続するイベントプログラムが休憩なしに2時間くらいが過ぎていた時間だろうか。やっとまとまった休憩時間という雰囲気に席を立って、お手洗いに立つような人もちらほら見かけられた。


そんななか、何の前触れもなく、突然センターステージの床一面に、香取さんの壁画がプロジェクションマッピングで投影された。会場が歓声でわきあがると同時に、何の前置きもなく、香取さんが真っ白な壁を前にして話し始めた。


開場を埋め尽くしたSMAPファンの多くは、時に嗚咽をこらえながら、10日間、計60時間もかけて絵を描き続けた香取さんの姿を凝視した。


「i enjoy!」がテーマだから、自分も楽しんで描こうと思う、と語り始めてスタートしたものの、時に疲労困憊したような表情で語り、時にクリエイターとしての葛藤を吐露する、そんな香取さんの表情を一秒たりとも見逃すまいと、誰もがスクリーンに見入ったことだろう。


会場もいつしか、香取さんの張り詰めた空気が乗り移るかのような空気になっていた。目の前で絵を描いているわけではないのに、まるで描いている香取さんのずっとそばにいて、一日ごとにどんどんパーツが描き足されていく絵を観ながら、完成の声が聞けるのをただ祈るように見守るような雰囲気があった。


そんななか、香取さんが草なぎさんに絵の途中の写真を見せたという話になり、草なぎさんが香取さんがこれまで描いた絵の中で一番いいよと、大絶賛してくれたというエピソードが披露され、場が一気にほっこりするようないい空気になった。


そして、最後にサインを書いて完成を告げる香取さんに、会場の緊張は一気に解けたように拍手が広がった。


他のお仕事と並行しながら、ご自身がそのとき出せるアーティスティックなものをすべて振り絞っている様子がうかがえる、とても素敵なムービーだった。


たぶん、コンサート前の構成もこんなふうだったのだろうかと想像した。
創造を形にする喜びや楽しさ以上に大きい、迷い、葛藤、苦悩。


進んでは立ち止まり、時に信頼できる仲間に相談し、要素を足したり引いたりバランスを考えたりして、それでも最後まで責任を持って、クロージングをする責任は自分にあるのだという強さを持っている香取さんのお人柄の素晴らしさ、クリエイターとしての才能。


その圧倒的な凄さに感動して、胸にこみ上げるものがあった。同行したかたは香取さんファンなので、もう映像が始まってから、ずっとずっと泣いていたようだった。


この香取さんの素晴らしい映像を観て感動したからこそなお、なぜこの壁画レプリカと、メイキングムービーが、たった5000人としか共有できないのだろうと思うと、いまのこの状況がよりせつなく胸に迫ってきた。


香取さんが語った「楽しいばかりじゃないときに、ちょっとでも楽しく明るい気持ちになってもらえたらなと思うので、気持ちが晴れる場を作れる画(え)になってくれたらいいですね」という言葉。


これは、ワイドショーなどでも使われた言葉だが、ムービー全体を観て、香取さんがどれだけのものを振り絞って、この壁画一枚に魂を注いだかがわかると、この言葉の重みは言葉以上の力を持つ。


人を喜ばせる一瞬のために、こんなに、こんなに全力を尽くして生きている人がいるんだと思うと、その澄んだ美しい心と、完成したときの立ち姿を思い出すだけで泣けてきてしまう。


日本財団さんは今回、できることを最大限にしてくださった感謝しかない。
それでも、と思う。


どうか、香取さんのこの壁画がくれるパワーを必要としているひとに、メイキングムービーでの魂を受け取りたいと思っているひとに、この私が体感させてもらった時間を、一人でも多くのかたに届けてほしいと願わずにいられない。


説明文も、期間限定でもいいので、公式ページにアップしていただくなど、香取さんの魂のかけらを、どうか一人でも多くのかたに伝えてほしい。


暗号的な読み解かせを、ファンと楽しんでしてきた香取さんが、どういうメッセージを絵に込めていたのか、答え合わせをするかのように知りたいかたは多いと思う。


香取さんが仕込んだ暗号や思いを、この絵からどれだけ読みとれたか、そういう答え合わせをする過程もまた、パラスポーツを応援するかたとの心の交流になると思っている。


この絵はただの壁画ではなく、もはや香取さんの魂であり、分身なのだと思う。


私自身、この絵を知る前と、実際にレプリカを観たあととでは大きく気持ちが変わった気がする。


絵一枚に出会うことで、変わる生き方、晴れになる一日、笑える一瞬がある。
それを教えてくれた、本当に素晴らしい絵だと思う。
どうか、一人でも多くのかたの心に、この絵を。


そして、メイキングムービーを観てなんとなく思ったのだが、香取さんはこの絵がお披露目される時、SMAPが5人が集まることを十分意識していたのではないかと思った。


一般のかたたちに観てもらう前に、ご自身が最もたいせつにして、もっとも評価されるのが緊張するであろうメンバーに、まずは喜んでもらえるかを考えていたのではないかと。


ファンのかたたちよりも先に絵を見ていたSMAPのメンバーは、心が晴れになった状態だったんだなと思うと、あの5人のいい笑顔の集合写真、中居さんの絵を見て見てという誇らしげに伸ばした手が、いまさらながら納得できる。

世界に一つだけの花』と『オリジナルスマイル』の5000人の合唱

香取さんの壁画のメイキングムービー公開のあと、パラフェスの大トリは大黒摩季さんのライブで終了した。


大黒摩季さんの素晴らしい歌とパフォーマンス、会場の一体感は文句なしにエンディングにふさわしかった。ああ、今日はイベントだったなぁと会場の空気も温かかった。


大黒さんに失礼がなければいいが、たぶんSMAPファンの多くのかたは、ラストの『ら・ら・ら』で中居さんが主演したドラマを思い返す人もいただろう。


そういう理由で楽曲は選ばれたわけではないだろうと思いつつ、どうしても「ら・ら・ら」を全員で手振りしつつ合唱しながら、中居さんのことが頭から離れなかった。それでも、大黒さんありがとうと思いながら、いまこの空間を楽しもうと楽しみきって、イベントは終了した。


ああ、一日充実していたね、もう22時過ぎてるね、さて、帰り支度をしようかという空気に会場がなった。


ステージにいた出演者全員がほぼセンターステージからはけて、イベントは終了し、会場は明るくなり始め、スタッフは片づけを始めていた。


終了した、と会場の誰も思っていた、その時。


スクリーンに、パラリンピアンの競技の雄姿がランダムに投影されるなか、『世界に一つだけの花』が場内に流れ始めた。


会場は悲鳴にも似た号泣とともに、それまでまったく光ってなかった、SMAPのペンライトが一気に灯り始め、そして、自然と大合唱となった。


私自身、その数日後に歌のライブを控えていて、まさに『世界に一つだけの花』を猛練習中だった。でも、このときはもう、泣いているんだか、叫んでいるんだか、声が声になっているんだか何がなんだかわからなかった。


手振りをしながら、とにかく、みんなと声を合わせて手を振って、声がどれだけ裏返っていようが、鼻声だろうが、声を出し続けていたいと思った。ただただ、歌う楽しさと空間に身を委ねるような不思議な時間だった。


本当なら、この場に一緒にいるはずだったSMAPは今ここにいないけれど、SMAPが2020年まで果たそうとした役割をファンが引き継ぐかのように、このイベントに参加したかたもいると思う。


香取さんの絵を目当てにきたとしても、本来の主役であるパラスポーツ関係者を邪魔しないようにと控えめに、でも大真面目な気持ちでパラフェスを盛り上げるために来場した人もいるだろう。


その多くのかたたちが、「SMAPファン」であるということを表に出さずに過ごした数時間。


イベントは十分に楽しんだけれど、出演者や関係者のみなさんに申し訳なけれど、でも、『世界』が流れてしまうと、もう歯止めはきかないと言わんばかりに、抑えていたSMAP愛が一気にさく裂したかのように、会場全体がSMAPのペンライトの光の渦になった。


厳密には5000人ではないだろうが、ほぼ5000人と『世界に一つだけの花』を合唱するなんて、それも、SMAPがいない場にも関わらず、いまこの瞬間、SMAPを心の真ん中に熱く感じている人たちとともに一緒に歌うなんて。


世界に一つだけの花』のフルコーラスの大合唱のあと、会場は大きな拍手がわき、そこで本当に終わると思っていた。


でも、そこで耳慣れた口笛のイントロが聴こえ、『オリジナルスマイル』が流れた。再び、大合唱が始まった。


ふと見ると、数名のダンサーさんが衣装のまま、客席のファンに合わせて、最後までずっと踊り続けてくれていた。SMAPはステージにいないけれど、手を振る相手が客席の向こうにいて、ノリノリで踊ってくれていたことは、どれほど心の支えになっただろう。


後から知ったのだが、その日のパフォーマーさんには、SMAPのバックダンサー経験があるかたも複数いたようで、SMAPはいないけれどいるような温かい空気を作ってくれた、あのときのダンサーさんたちには本当にお礼を言いたい。


単純に歌って踊るのが楽しいと思える、そういう頭を空っぽにして楽しめる時間をもらえたことは、とても幸せなことだった。


歌って踊る客席に、スタッフのかたたちも驚いたようで、一度は止めたカメラを再び回しはじめたり、ファンに合わせて踊っているかたもいた。


もう『オリジナルスマイル』のときは、客電も明るくなり、もうとっくに観客としては完全退出をしなければならなかった。でも、誰もファンを止めることなく、2曲をフルコーラスで歌わせてくれた。


時間は45分も押していた。
なのに、日本財団さんの粋なはからいで、ファンは、「いるはずだったSMAPがここにいない」という喪失感を抱えて行き場がなかった思いを、この2曲を自由に歌わせてもらうことで、十分活力に転化させてもらったような気がしたと思う。


さらに、日本財団さんのはからいは、香取さんの壁画レプリカの公開時間も23時までと遅い時間までに設定してくださるところにも及んだ。壁画はイベント開始前後だけしか公開しておらず、イベント中は展示が一時的にクローズされていた。


普通に現地スタッフの終電などを考えたら、当初21時30分で終わるイベントが45分伸び、深夜時間帯になったにも関わらず、スタッフがいられるギリギリの時間まで、公開時間を延長してくださったのだ。


日本財団さんのこうした一つひとつの心配り、来場者を楽しませようとする思い、イベントを成功させようとする気持ちが、ひしひしと伝わるイベントだった。


来場するきっかけは多くのかたはSMAPだったかもしれないが、もし去年のパラ駅伝で、日本財団さんの取り組みに賛同しなければ、今年、いくら香取さんの壁画やムービーが見られても、ここまで来場することはなかったかもしれない。


また、SMAPファンも去年のパラ駅伝からのマナーがもし悪かったとしたら、こういうイベント内容を今年実施してもらえなかったかもしれない。


そう思うと、日本財団さんとSMAPファンって、一年前から今にいたるまで、「SMAP」を通して結びつき、信頼関係を築き上げ、ともにパラスポーツを盛り上げていこうという気持ちや、お互いを喜ばせようとする思いを持ち合い、もう一年かけて深めてきた絆が十分にあるのだと思った。


SMAP5人は会場にはいなかったけれど、SMAPを愛し、信じ、また再びこの場所で会いたいと願う人の思いの交信がされるような空間が、このパラフェスにはあった。


イベントの開催に尽力くださったみなさま、本当にありがとうございます。


そして、あの空間に一緒にいたみなさんと、あの空間にはいられなかったけれど魂を飛ばしてくれたかた、そして後追いで体験したいかたに。


気持ちが晴れないときは、香取さんの絵を思い出して、笑おう。


私は、5000人と一緒に歌った『世界に一つだけの花』を、一生忘れない。


忘れないだけでなく、あのときもらったパワーを、きちんと言葉で返して行こうと思う。


私は本業が書き手だが、無償の個人ブログのため、記事を推敲なしに一発で書き上げているので、読みにくい点があったら失礼します。この荒々しい感じが、むき出しの思いそのものだと受け止めていただければと思う。


では、また。

コラボブログについて

今日は、「剛 しっかりしなさい!」のブログ運営者である、凪(なぎ)さんのコラボブログ 【SMAPとココカラ】(46)free birdを受けて、コラボブログ第47回として書いた。


主旨について
ブログ主旨については、下記にリンク先を掲載している。
【コラボブログ:SMAPとココカラ】(2)SMAPとファンは、もはや一つの組織の最下段、【コラボブログ:SMAPとココカラ】(4)木村拓哉さんの自己犠牲の精神の序盤で紹介している。